
今津灯台歴史文化再発見コンソーシアムは、「今津灯台歴史文化再発見プロジェクト」を開始。調査検証事業の一環として2025年11月28日(金)に、兵庫県西宮市今津地区に現存する日本最古の現役灯台「大関酒造今津灯台(以下、今津灯台)」を核にしたモニターツアー「今津灯台ものがたり〜海と酒が灯す、歴史の光〜」を開催した。
“港まち文化体験”の商品化に向けて

モニターツアーは、「今津灯台」を中心とした“港まち文化体験”の商品化に向けた試行。この取り組みは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、灯台を中心に地域の海の記憶を掘り起こし、地域と地域、異分野と異業種、日本と世界をつなぎ、新たな海洋体験を創造していく「海と灯台プロジェクト」の助成を受けて実施した。
西宮・今津地区は、江戸時代から海運と酒造りを生業とした港まちとして栄え、海と酒と文化が交錯する独自の歴史を持つ。その象徴のひとつが、民間が設置し今も点灯する「今津灯台」だ。
「今津灯台」は1810年、酒造会社・大関の創業家である長部家五代目・大坂屋長兵衛によって、今津港を出入りする船のために私財を投じて建てられた。灘の酒は樽廻船で江戸へ運ばれ、「下り酒」として高い評判を博し、今津港は酒荷の出港地として最もにぎわった時期もあった。
この灯台には、そうした航海の安全と港の繁栄を願う思いが込められている。以来200年以上にわたり、“酒と文化を運ぶ希望の灯”として人々に親しまれている。
こうした“多層の歴史”を一日で立体的に体験できるプログラムとして、モニターツアーを構成した。それにより、食・芸能・信仰・酒造りといった地域文化を一つのストーリーとして体験することを目的として実施された。
「今津灯台」が生まれた背景を知るモニターツアー
モニターツアーは、「今津灯台」を“ゴール”とし、成立背景を紐解くための手がかりを地域の文化資源に散りばめている。大関本社の歴史、海運と信仰を伝える西宮神社、地域文化が結実した能楽堂、地元食材を使った食の体験を通して、参加者は「なぜ今津に灯台が生まれたのか」を物語として理解できる構成になっている。

当日は、西宮神社の本殿で正式参拝を行った後、酒造りの神様を祀る末社、酒蔵が寄進した灯籠、海の守り神を祀る社などを巡り、海と酒、信仰の深い結びつきを確認。

静和館では、ツアーのために開発された特別に地元兵庫産の食材を多く盛り込んだオリジナル弁当を食べた。

西宮能楽堂では、能の所作体験のあと、能楽 シテ方・梅若流の重鎮、梅若基徳氏による「高砂」を鑑賞。

「今津灯台」では、内部が特別公開された。
灘五郷・今津郷の新しい酒文化として注目されるブリュワリー・魁蔵を訪れ、醸造現場を見学。

最後は静和館で、大関独自の味わいマップを使ったきき酒体験で締めくくった。
「他地域にはない価値」として高く評価
モニターツアーは、文化財・食・芸能・酒造りを一体で体験できる点が「他地域にはない価値」と評価された。特に、灯台を中心に西宮・今津の歴史が一本のストーリーとして理解できる構成は、「観光素材の新しい見せ方」として好評だった。
「今津灯台」を中心に、酒造・海運・芸能・食文化など、多様な資産を連動させることで、西宮・今津のブランド価値向上と地域内回遊の促進につながることが確認され、単なる観光体験にとどまらず、地域が持つ文化資源を再発見し、未来へつなぐための取り組みとしても大きな意義があったという。
今後は、新たに発見した「今津灯台」の魅力や地域とのつながりをブラッシュアップし、より「見える化」することで、「今津灯台」の価値を多くの方に広めていく予定だ。
歴史ある「今津灯台」と共に、西宮の開運や酒の歴史・文化が広まっていくことを期待したい。
■今津灯台歴史文化再発見プロジェクト
会場:兵庫県西宮市今津地区
主催:今津灯台歴史文化再発見コンソーシアム
海と灯台プロジェクト HP:https://toudai.uminohi.jp
(淺野 陽介)